
毎春恒例の「小学校合唱指導セミナー」……優れた合唱指導で知られる名先生が演壇に立ち、日々の授業や歌唱指導のノウハウを直接紹介する大人気セミナーです。今回の講師は、東京都日野市立平山小学校の後藤朋子先生。同校合唱団を創立3年でNHK全国学校音楽コンクールの全国コンクールで金賞に導いた後藤先生の合唱指導を生で学べる機会に、全国からたくさんの先生方が集いました。
第39回小学校合唱指導セミナー
音楽之友社「教育音楽」編集部主催
2025年3月15日 音楽の友ホール
取材・文:小島綾野(音楽科教育ジャーナリスト)
写真:編集部
●目次
指導のステップを明確に
大事なのは「子どもたち自身でわかっていく」こと
新曲に子どもたちが出会う瞬間をライブで!
指導のステップを明確に
今回のテーマは「思いや意図を歌声にする授業」。子どもたちが思いや意図をもてるように指導しても、それが実際の歌声につながらない……とお悩みの先生も多いでしょうが、後藤先生も「思いをもつこと自体がレベルの高いこと。だからまずは『思いや意図』に辿り着くまでが大変なんですよね」と、悩める先生方に寄り添います。
その上で、後藤先生はその「思いや意図に辿り着くまでのステップ」を整理し、各ステップで「何ができるようになればいいのか」を明らかにしておきます。以下の通りです。
ステップ1 曲と出あう
ステップ2 歌詞がわかる
ステップ3 旋律がわかる
ステップ4 曲想やテンポ、構成がわかる
ステップ5 少し歌える
ステップ6 この部分をどんな○○で歌うか、具体的なアイデアやイメージを思いつく
ステップ7 歌ってみて、試行錯誤・取捨選択をしながら一つの方向にまとまっていく
ステップ8 音が整っていき、合唱を体感する
これを指針にすると、毎時間の授業のねらいも明確になりそうです。
また、後藤先生は指導の中で先生が判断すべき「3つのポイント」も提示。それは「①何が問題か」「②何を直すか」「③どう直すか」……さらに「指導をしながらこれらを瞬時に判断していかなければいけないので、教師には『聴く耳』『見つける耳』が必要です」と話す後藤先生。

後藤朋子先生(東京都日野市立平山小学校指導教諭)